入試問題に挑戦第13回

<問題>
下の@〜Dのうちで、一筆書きができないものを選んで記号で答えなさい。(01年多摩大目黒)

 

 

 

 

 

入試問題に挑戦第13回解答編

<解答>
一筆書きの問題は、『ケーニヒスベルクの7つの橋』の問題が不可能であることをオイラーが証明したことで、有名です。どんな問題であるのかは、ここでは省略させて頂きますが、一筆書きができる図形と、できない図形を簡単に見分けるには、このオイラーの考え方を利用します。

まず、図形の頂点や線の交点などに注目して、その点から出ている線が何本あるのかで、点を分類します。点から出ている線の本数が奇数本のときを奇数点線の本数が偶数本のときを偶数点と呼ぶことにします。

問題の図形に、奇数点、偶数点を記入すると、以下の様になります。

ここで、奇数点と偶数点の違いについて考えてみましょう。一筆書きで点を通過する場合には、その点に入る線出る線が必要です。つまり線が2本あれば点を通過できますから、点から出ている線の本数が2の倍数(偶数)本の時には、その点を通過点と考えることが出来ます。

ところが、点から出ている本数が奇数本の時は、1本半端が出てしまいます。その半端の1本から入った場合は、その点から出ることができないので、通過点とはなりません。そこで、この奇数本の点を、始点、または終点と考えればよいことになります。

ただし、一筆書きという条件ですから、始点、終点は各1個ずつしかとれません。つまり、奇数点が3個以上ある場合には一筆書きができないということになります。

また、線は点どうしを結んでいるので、線1本につき、その両端の点で各1本ずつ2回本数を数えていることになるので、各点の本数の合計は必ず2の倍数(偶数)になります。従って、奇数点の個数は、必ず0または、偶数個になることがわかります。

以上のことをまとめてみると、

  @奇数点が0個(すべて偶数点)の場合は、どの点からはじめても一筆書きが可能。
  A奇数点が2個の場合は、一方の奇数点を始点、他方を終点とすることで一筆書きが可能。
  B奇数点が2個より多い場合は、一筆書きが不可能。

これより、問題の答えは【D】になります。