入試問題に挑戦第4回
 またまた、図形問題です。中学入試では何度も登場してきた問題ですが、あえて麻布が今年出題してきたのには、どの様な意図が隠されているのでしょうか。もしかすると、2002年問題への布石かも・・・。

 下の図は正12角形で、点Oはその中心です。次のように1つの頂点をAとするとき、OAの長さは1cmです。この正12角形の面積を求めなさい。(01年麻布)

 

 

 

入試問題に挑戦第4回・解答編

 この問題は5年生分野で、多角形の性質をきちんと理解し、また30度を活用できたかどうかがポイントです。基本的な知識を整理できているかどうかを確認する問題として、これまで多くの学校で出題されたことがあります。

 まず、正12角形の中心Oから各頂点へ直線を引くと合同な二等辺三角形12個に分けられますから、二等辺三角形1個分の面積を求めて12倍すればよいことになります。

 この二等辺三角形は頂角が、360÷12=30(度)なので、1cmの辺を底辺として下の図のように見たときの高さ(点線AB)がわかれば、面積が求められます。

 ここで、三角形OABに注目すると、角度が30度・60度・90度の直角三角形になっています。この三角形は中学入試では頻出の三角形であり、三角定規の1つとしても有名です。この三角形は正三角形の半分なので、ABの長さはOAの長さの半分になります。

 三角形OAB=1×0.5÷2=0.25(平方cm)

 以上から、正十二角形の面積は、0.25×12=3(平方cm)になります。

 ここで少し余談ですが、この正十二角形に半径1cmの円を重ねてみます。すると円と正十二角形の間に隙間ができ、この部分の面積を求める問題が、中学入試の出題されたこともあります。実際に計算してみると、1×1×3.14−3=0.14(平方cm)です。

 ところが、2002年からの新学習指導要領によれば、円周率は「3」を使うことになります。すると、先の隙間の部分の面積は、1×1×3−3=0。なんと、面積が「0」です。つまり、円と正十二角形は面積が等しいということになってしまうのです。本当にこれでいいんでしょうか?

 今年の麻布が、使い古された問題をあえて出題してきたのは、もしかしたら、2002年の指導要領への密かな警鐘なのかもしれません。